散歩に出る前に
わんこの歩かせ方
散歩に出た後は
遠くへ車で出かける場合



★散歩に出る前に★


 自分で自由に立てないわんこは、排泄も自由にできません。そのために散歩は、非常に重要なファクターで、定期的に外に出してやる必要があります。1日4回出してあげるのが適当のようですが、時間や体力の都合等でそこまでこまめに出せない場合は、1日3回程度で我慢してもらいましょう。
 まだ足が動いて、立たせれば自分で歩けるわんこの場合は、回数を少なくして距離を長く。人間の介助なしには歩けないわんこの場合は、回数を多くして距離を短くします。寝たきりにしないためにも、できるだけ散歩には出してあげましょう。寝たきりになると、血流が悪くなり体調不良となったり、排泄物が出にくく便秘や膀胱炎になったりします。散歩に出して外的刺激を与えることは、ボケ防止にもいい効果をもたらすはずです。(ただし、心臓に疾患がある等持病のあるわんこは、身体に影響のない程度に歩かせてあげてください。獣医さんに相談するのが良いかと思います)
 後ろ足を引きずるわんこには、くつ下をはかせてあげると足の保護になります。足を引きずると、爪や肉球がすり減って傷ついてしまうので、面倒くさがらずはかせてあげましょう。うちでは、子供用サイズ(13〜15cm)をはかせています。子供用くつ下のサイズはいくつかあるので、わんこの足に合わせて、ちょうどいいものを選んでください。普通にはかせるだけでは、散歩中に脱げてしまうので、サージカルテープでぐるぐる巻いてとめるといいでしょう。
 前足が弱ってしまい、転びやすくなったわんこでは、首輪ではなく胴輪を使うのもいい方法です。転びそうなときに首を引っぱるよりも、胴を引っぱった方がわんこの負担は少なくなります。首輪しかしたことのないわんこでは、なかなか慣れないと思いますが、長期的に見ればわんこのためですので、ゆっくり慣らしましょう。


★わんこの歩かせ方★


 ゆっくりでも自力で歩けるわんこは、できるだけ自力で歩かせましょう。世の中には犬用の車椅子などというものもありますが、あれは下半身麻痺など、全く治る見込みのないとき以外使わない方が良いです。自足歩行をさせないと、あっという間に筋肉が落ちて、立っていることもできなくなってしまいます。ただし、足がおぼつかなくなっている分、いつもより転びやすくなっていますので、注意してください。
 老化現象で歩けなくなるわんこは、まず何よりも先に立つことが不自由になるかと思います(歩くより立つときの方が、瞬間的に大きな力を必要とするためです)。その場合は、人間が腰を持って立たせてやります。自力で立つことだけができないわんこの場合、排泄のためにふんばると、同じく力が入らなくて転んでしまうことがあります。そういうときは人間がお尻をささえてあげましょう。うまく手の汚れない場所を掴めば、難しいことではありません。

 まったく自力で歩くことのできないわんこは、人間が歩かせてやります。一例として、うちのわんこの歩かせ方は、わんこの両足(人間で言えばひざのあたり)を持ち、右、左、右、左と動かします。わんこが自分で歩こうとしている場合は、手をあてて補助してやる程度でいいのですが、わんこが自分で歩くことすらしないときは、人間が足を握り、しっかり動かしてやりましょう。またわんこの足に力が入らないと、歩いているときに足先が曲がってしまう(人間で言えば足首が曲がって、足の甲が地面についてしまう)ことがあります。そういうときはうまく握っている手のスナップをきかせて、足先をけり出す形で歩かせましょう。ただし、多少(10歩中1、2歩)ぐらい足が曲がっても、リズムよく後ろ足を歩かせてやる方が、わんこも歩きやすいようです。
 これはかなりの力を要する上、腰を曲げっぱなしで歩くので、筋肉痛と腰痛に悩まされるかと思います。この方法がベストなのですが、どうしても人間の方が耐えられないと思ったら、腰を吊り上げるキャリーバッグのようなものが市販されています。(これを使うと、自らの足で歩かないので、足の衰えが加速度的に早くなると思い、うちでは使いませんでした)


★散歩に出た後は★


 散歩に行かせた後は、たっぷり水を飲ませてあげましょう。これまでは平気で歩けた距離でも、わんこにはかなり負担が大きくなっているはずです。
 また、おそらく排泄物が身体についていることが多くなっていると思いますので、これも拭いてあげましょう。男の子では、足が動かなくなると、足を上げておしっこすることができなくなりますし、毛の長いわんこでは大きい方が毛についてしまうことも。屋内に入れているとニオイの元になりますし、ハエが寄ってきてしまいます。(→注意すること)身体が弱ってくると、寝床で排泄することも多くなりますので、お尻まわりの毛を剃るとお尻を拭きやすくなります。
 歩かせているうちに、手が滑って転ばせてしまうこともあるかと思います。そのため散歩から帰ってきたら、傷ができている場合がありますので、転ばせてしまった場合はよく注意して見てあげてください。もし傷ができてしまったら、傷口を消毒して治療してあげてください。(→注意すること


★遠くへ車で出かける場合★


 病院へ行くときなど、車でわんこを連れ出す機会はけっこう多いと思います。若い頃からよく旅行に連れていっていたわんこは、要介護状態になっても連れていかれるのに慣れているかと思いますが、これまであまり旅行に行かせたことがないわんこを「今までの分」とばかりに車であちこち連れ出すのは、あまり賛同できません。犬も人も体力を使いますし、犬は元来人ほど旅をすることを好む性質はないからです。
 とはいえ前述の病院など、車でわんこが出かける回数をゼロにすることはできません。そういった場合の排泄物対策は、犬用のおむつを使用すると便利です。
 ペットショップに市販されていますが、単価が高い上に蒸れるので、寝たきりわんこの普段の使用はあまりオススメできません。(→寝床の環境)しかし外出時はできるだけ身軽にしたいもの。横もれ防止ギャザーもついていますので、とても便利です。わんこの大きさに合わせて、サイズを選びましょう。なお、大型犬の場合、人間の老人用オムツに尻尾を通す穴を開けても使用できます。試したわけではありませんが、中型犬ならば人間の赤ちゃん用オムツでも使用できると思います。
 長時間で横もれが気になる場合は、下にペットシートを敷くと良いです。しかし、やはりできるだけ乗車時間は短くするのが大事です。
 1〜2時間程度なら、食べさせるものは必要ありませんが、小腹を満たすのとご機嫌とりの意味から、おやつぐらいは持っていって損はないと思います。あとは水を飲ませる道具など、普段の外出準備とあまり変わらない物を用意して出かけましょう。ただし、長時間ドライブの場合は、以前よりこまめに休憩をとるのが懸命です。