レンブラント 光の探求/闇の誘惑 |
国立西洋美術館前にて
3月12日開幕予定だった「レンブラント 光の探求/闇の誘惑」の実際の幕が上がったのは、3月26日(土)の10時でした。
9時55分に国立西洋美術館前に着くと、そこには開場を待つ方々の長蛇の列。美術館入口を先頭に角を曲がったところまで延びていました。未だかつてここまで並んでいるのを見たことがありません。レンブラント展開幕を心待ちにしていた方がこんなにたくさんいたのですね。
10時ちょうどに開門。門を入ってから会場入口に向かう方々と当日券を買う列に並ぶ方々の比率はおよそ7:1くらいでしたでしょうか。
展覧会場入口のところで混雑の始まりです。
何の根拠もなく先週のBunkamuraと同じくらいの人出を予想していたので、初っ端から面食らってしまいました。
最初の1枚からカニの横ばいスタートです。
展覧会の展示構成は、
T「黒い版画」:レンブラントと黒の諧調
U「淡い色の紙」:レンブラントと和紙刷り版画
V「とても変わった技法」:レンブラントとキアロスクーロ
W《3本の十字架》と《エッケ・ホモ(民衆に晒されるキリスト)》−2点の傑作版画
の4部構成でした。
最初の9点は、レンブラントと同時代の版画家さんの作品。その中にレンブラントの油絵の「アトリエの画家」が展示されているのは、どういう展示意図なのでしょう。
この「アトリエの画家」はアトリエに置かれたキャンバスの向かって左端が中央にあって最も明るく、画家の顔は向かって左頬のみ光が当たって、あとは暗く描かれています。この画家さんのみならず、今回出品されているレンブラントの作品の全身像が描かれた方は、皆さん、小柄というか子供のような体型に思えてしまうのは何故?
「アトリエの画家」
「東洋風の衣装を
まとう自画像」
「東洋風の衣装をまとう自画像」に描かれているプードルが寄り目だと思ったのは私だけ?!向かって右(杖を持っている手)の黒の手袋の質感が素晴らしい♪
「影のかかる自画像」は、四角い額縁の絵なのに、わざわざ丸い枠を描いているのはどういう効果を狙っているのかなぁ。
私的には、「羽根付き帽子をかぶる自画像」の顔つきが他の自画像とは違って見えました。意識してなのか無意識なのか、はたまた私の目の錯覚か?
解説によるとレンブラントは、この「貝殻」1点しか静物画は描いていないとのことで、「そうなのか、知らなかった。」と、思わず声をもらしてしまいました。
U「淡い色の紙」:レンブラントと和紙刷り版画では、和紙に刷った版画と同じ絵柄で和紙ではない紙に刷った版画が並べて展示されているのが(しかも、和紙の版画と和紙以外の版画で、版画を所蔵する美術館が違っていたりする)、企画展ならではだなぁと思いながら見学しました。
「窓辺で描く自画像」に対して、「普通のおじさん」などというふらちな感想をつぶやいてしまいました。失礼しました!しかも、この版画は、同じ絵柄の版画がかなり離れたところに展示してありました。同じ絵柄の版画が離れて展示されているのと並べて展示しているのと、どのような切り分けになっているのか謎です。
「音楽を奏でる人々」
地下の企画展の展示室から、更に順路に従って降りた展示室に油絵がいくつかまとまって展示されています。
その中の1点が、「音楽を奏でる人々」です。間近で見るとレンブラントにしては色彩豊かな絵に思えましたが、少し離れた椅子付近から眺めると、光の部分と影の部分が際立っているようにも感じました。
油絵が何点か展示されて、また版画に戻って何点目かに、今回の展覧会のポスターやチラシで“闇の部分”の代表を担っている「石の手摺りにもたれる自画像」が展示されていました。あまりに出てこなかったので、見逃したのではないかと自分の中で不安になり始めた頃の登場で、見逃してなかったと、かなりホッとしました。
W《3本の十字架》と《エッケ・ホモ(民衆に晒されるキリスト)》−2点の傑作版画では、「3本の十字架」ではは馬が左向きと右向きの違い、女性がいるいないの違いなど登場人物の違いがあったり、「エッケ・ホモ(民衆に晒されるキリスト)」では、台の下(前)に群集がいるかいないかなどの違いがあったり、印刷されている紙の違いの他にも違いがあって、その違いを見つけるのにとても集中して絵を見ました。
見学を始めてから終わるまで約2時間。その間、多少の程度の差があるとはいえ、ずっとカニの横ばいが続きました。レンブラント人気、侮るべからず。
比較的小さな版画、明暗の差や線の違いを見る版画が多かったせいか、目に神経を集中して力を入れて見ていたようで、見終わった後、両目の奥と眉間がとても痛くなっていました。
「石の手摺りに
もたれる自画像」
レンブラントが生きた時代、版画家として有名だったのを初めて知りました。こんなにもたくさんのレンブラントの版画を見たのも初めてです。ただ、欲を言うなら、もう少し油絵も見たかったです。
時間も時間ですし、これはミュージアムショップへ行くよりもレストランへ行って昼食を摂りましょう。国立西洋美術館のカフェすいれんでいつものランチコース(\1,600)です。
サラダ、スープ、パン
ビーフステーキ
桜アイス、アイスティ
先週のBunkamuraの帰りで食べたランチのアイミティがあまりに美味しかったので、今回、こちらでもアイスティを選択…次回はアイスコーヒーに戻ります。
昼食後、ミュージアムショップで図録(\2,300)を購入して帰途につきました。