「ぬおおオオッ!!」
ヴォルフは獣のごとき咆哮をあげ、一文字に斬ってきた。
しかし、二流三流の傭兵とは違う。こんな攻撃を食らうワケが無い。俺は身体を軽く落とし、ヴォルフの攻撃をかわした。
(もらった!)
その体勢から、心臓を貫く為に伸び上がった。
しかし……。
「滅せよッ!!」
ヴォルフは、今までとは比べものにならない速さで切り返し、袈裟斬りを仕掛けてきた。
「ばかなっ!?」
俺は空中で体をひねり、ヴォルフの攻撃を避けた。一流の傭兵でなければ決して出来ない体さばきだ。
ズドンッ!
まるで大砲の発射音のような轟音をたて、ヴォルフの剣が地面を割った。
一瞬遅れて、
トサッ!
と、何か軽いものが落ちる音がする。
「がああああああっ…!?」
俺の左腕は、肘から先が無くなっていた。
並みの使い手の袈裟斬りなら確実に避けられたはずだ。
しかし、相手はヴァルファバラハリアンの長だ。左腕だけですんだのは幸運だったと言っても良い。
「今の一撃を避けたか」
ヴォルフが近づいてくるのがわかる。
(動け!殺られるぞ!)
だが、衝撃と傷の痛みから立ち上がる事すら出来ない。
「だが、これで終わりだ」
ヴォルフの大きな影が俺を覆う。
「さらばだ。シリュウ・イシガミ中尉」
逆手に構えたヴォルフの剣が無気味に光っていた。
<作者の語り>
久しぶりに執筆しました。
なんかだんだんワケ分からなくなってきた気がする…。
まぁ、一応次で最後になります。
「ああ、こんな奴もいたな」
と思いつつ読んでもらえれば嬉しい限りです。
次はいつになるか分かりませんが、なるべく早く書くようにします。
それでは、また次の語りで会いましょう。