戦争前日、ドルファンは大嵐に遭っている。
ピコ「見て、外は凄い嵐だよ」
ゲイル「ああ。まだ昼だというのに、外は真っ暗だ」
ピコ「今日のもう何もしないで寝なよ」
ゲイル「そうだな、そうするか」
そして戦争当日。
マクラウド「始まるな」
ゲイル「ああ……」
マクラウド「どうした?いつものお前らしくないぞ」
ゲイル「ちょっとな。不安がある」
マクラウド「珍しいな」
ゲイル「そうか?」
ピコ「全く、しっかりしなさい!」
ゲイル『うわっ!ピ、ピコ!どうしてここに!?』
ピコ「どうしてって、今度だけはあんたは死ぬ訳にはいかないの!」
ゲイル『?』
ピコ「ソフィアの為にも、あんたは死んだらダメなの!」
ゲイル『ソフィアの為………?』
ピコ「そうだよ!ゲイル、あんたは騎士になるの!」
ゲイル『……………』
マクラウド「ゲイル、どうした?突然独り言なんかして」
ゲイル「いや、何でもない」
俺は少し溜息をして、
ゲイル『俺が、この俺が騎士になれると思うか?』
ピコ「なれるよ!お父さんの手紙の意味も分かるでしょ?」
ゲイル『父さんの手紙……。そうか、わかった。俺は戦う』
ピコ「そうこなくっちゃ!」
しかし、敵は全くこちらに攻めてくる気配がない。それよりも様子がおかしい。
マクラウド「妙だな。奴等、攻めてこない」
ゲイル「まさか、マクラウド、これは罠じゃ……?」
マクラウド「ありえるな」
ゲイル「騎馬隊、俺に続け!本体と合流する!」
そして急いで本隊に合流したものの、本隊は壊滅状態であった。
ゲイル「遅かったか…」
マクラウド「奴等、工兵を使ってきたな。手強いな…」
ゲイル「最終決戦か……。騎馬隊、工兵を潰すぞ!」
俺たちの部隊は8割ほどの被害が出たが、何とか勝利を収めた。
デュノス「もはや、ここで決着をつける!」
ゲイル「あいつが、親玉か?」
デュノス「我が名は、破滅のヴォルフガリオ!」
マクラウド「ゲイル、あいつは、ヴォルフガリオは強いぞ」
ゲイル「ああ。かなりの殺気を感じている」
俺は双剣を抜き、
ゲイル「我が名はゲイル=ラバーバ=ウィナー!八騎将の一人、勝負を挑む!」
デュノス「双剣の翼か…いいだろう。いざ、尋常に勝負!」
ゲイル「このっ!」
俺の双剣とデュノスの剣が激しくぶつかり合う。
デュノス「さすがだな」
ゲイル「俺は、この戦いで死んではいけないんだ!」
双剣の素早い連続攻撃。しかし、デュノスは全てを見切っている。
ゲイル「俺の太刀筋を見切っている!?」
デュノス「滅せよ!」
デュノスの剣から光が走り、俺を襲う。
ゲイル「今のは、俺と同じ力!?」
デュノス「違うな。今のは、我が剣の封じられた力」
ゲイル「手強い。本当に、俺に勝てるのか?」
デュノス「滅せよ!」
再び、剣から放たれた光が俺を襲う。
ゲイル「うあっ!」
デュノス「双剣の翼と言えど、所詮はこの程度」
ゲイル「このままじゃ、俺は負ける……!」
ピコ「ゲイル!貴方はまだ死んではいけないの!」
ゲイル『ピコ?』
ピコ「さあ、立って!貴方自身の為に!」
ゲイル『俺自身の為に……?』
デュノス「これで、終わりだ!滅せよ!」
光の走る剣。その時、気がつけば俺は双剣を使って受け止めていた。
デュノス「何!?」
ゲイル「…何だ?敵の攻撃が全て分かる」
デュノス「くっ!滅せよ!」
ゲイル「今だ!双剣の腕を見せてやる!」
敵の光を防いで、双剣はデュノスの腹を突き刺した。
デュノス「ぐはっ!」
ゲイル「これで、最後だ!」
俺の双剣がデュノスを完全に捕らえた。
デュノス「もはや…これまでか……。キリング、今参るぞ………」
ゲイル「!」
デュノスは、自分の持っている剣で自分の胸を刺した。
デュノス「…娘よ………」
デュノスが最後に放った言葉。俺には理解出来なかった。
こうして戦争が終わり、無事に宿舎へ戻ると、
ピコ「ねえねえ、手紙が届いているよ」
ゲイル「手紙?一体誰が?」
ピコ「読めばわかるよ」
ゲイル「何々……、!」
ピコ「どうしたの?」
ゲイル「果たし状だ」
ピコ「え?」
ゲイル「一つは八騎将『隠密のサリシュアン』。もう一つはジョアンからだ」
ピコ「ちょ、ちょっと!一体どうするの?」
ゲイル「俺自身の決着をつけるか、それとも国の為の決着をつけるか……」
ピコ「こういう時にあんたが二人いればね……」
ゲイル「二つの果たし状。おれには、どちらも選べない」
マクラウド「そういう事なら、俺に任せろ」
ゲイル「マクラウド!お前、不法侵入だぞ!」
マクラウド「今はそういう事態じゃないだろう?」
ゲイル「確かに………」
マクラウド「お前は、自分自身に決着をつけろ!」
ゲイル「え?」
マクラウド「話はショウ達から聞いている。お前は自分自身に決着をつけた方がいい」
ゲイル「しかし、お前に八騎将が倒せるのか?」
マクラウド「俺を誰だと思っている?近衛騎士副団長だぞ?」
ゲイル「………わかったよ。なら、八騎将の方は任せた」
マクラウド「ああ」
こうして俺とマクラウドは、それぞれ果たし状に書いてある場所へと向かった。
俺自身の決着。
それは、全ての始まりであり、終わりであるとも言える。