マクラウド「さて、もうすぐで橋に到着する。少し休憩しよう」
旅立ってから三時間。ようやく次の町に近い橋に到着した。
やはり、女性二人との旅は気難しい。
ハンナ「疲れた〜」
マクラウド「あのな、まだ次の町まで距離はあるぞ」
ハンナ「だってぇ〜」
ダダをこねるハンナ。それに呆れるマクラウド。
二人が言い争っている中、ソフィアは一人、空を見上げていた。
ソフィア「ゲイルさん、やっぱり、これでよかったのでしょうか…?」
ゲイルが別れる時に渡した双剣の片方。それをソフィアはしっかり抱き締めている。
マクラウド「ほら、早くしないと、日が暮れるだろ」
ハンナ「わかったよ〜」
そして、再び歩き出した三人であった。
歩き出して二時間。ようやく町にたどり着いた時、
マクラウド「師匠!ラミレス師匠!」
突然マクラウドが大声を出した。
相手は鎧を着けているので騎士のようだ。
ラミレス「おお、どこぞの誰かと思えば、五年前に飛び出ていったバカ弟子ではないか」
マクラウド「誰がバカ弟子だ!それより、師匠に聞きたい事がある」
ラミレス「何じゃ?」
マクラウド「“斬皇剣”を知っているか?」
ラミレス「知らんのう」
マクラウド「ふざけるな!以前、あんたが持っていたのを覚えている!」
ラミレス「ウソかどうか、わしに勝ってから言うんじゃな」
マクラウド「望むところだ!」
そしてお互いに剣を抜き、その剣が激しくぶつかりあった。
ラミレス「どうやら、腕を上げているな」
マクラウド「当たり前だ。五年前の俺とは違う!」
二人が戦い始めて三十分後。苦戦しながらもマクラウドが勝利を収めた。
マクラウド「勝ったぞ!さあ、教えろ!」
ラミレス「…ほれ……」
マクラウド「何だこれは?」
ラミレス「“斬雷剣”じゃ」
マクラウド「話が違う!」
ラミレス「フハハハハッ!」
マクラウド「笑うな!」
ラミレス「マクラウドよ、わしはこの町には二度と現われん」
そう言って逃げるように去って行ったラミレス。
マクラウド「逃げられた……」
ハンナ「だらしないね」
マクラウド「うるさい!」
ハンナ「それより早く宿に行こうよ!」
そう言われながら、三人は宿へ向かった。
それぞれ別室に泊まり、眠りに入ろうとしたが、
マクラウド「ソフィア?外に出て何をやっているんだ?」
外で夜空を眺めているソフィア。ゲイルの剣は抱き締められている。
マクラウド「そう言えば、あいつには酷い事をしたな」
そう言いながら眠るマクラウド。
ソフィア「ゲイルさん……」
ソフィアの目には美しい夜空が鏡のように写っている。
ソフィア「早く、早く貴方に会いたいです……」
そして、ソフィアは自分の部屋へ戻っていった。
今は再会できない二人。
しかし、二人の想いはいつでも通じ合っている…。
<キャラクターデータ>
ソフィア=ロベリンゲ
武器 :双剣ファスラル(片方のみ)
能力 :特になし
その他:家計の為にバイトをしている。
ジョアンと言う婚約者がいたが、彼は行方不明になり、ゲイルとの愛を実らせた。
今はゲイルとの再会を祈り、いつもと同じ生活をしている。
片方しかない双剣は、肌身放さず持っている。
<次回予告>
マクラウド「やれやれ、ようやく話が進んだな」
ハンナ「ねえ、疲れたからもう終わっていい?」
マクラウド「あのな、まだ次回予告していないだろ」
ハンナ「えぇ〜!?」
マクラウド「さて、次回は『吸血鬼を倒せ!(前編)』だ」
ハンナ「何で前編と後編に分けるのさ?」
マクラウド「俺に聞くな」