クルシダ村



 海に面していること以外に、とりたてて何もない、小さな漁村。海と山にはさまれている。大きな街道 からも外れており、たいていの旅人は足を休めることすらなく、ただ黙って通り過ぎてゆく。村人は、 海で漁をしたり、山で狩りをしたりして生計を立てている。
 一応宿があり、一階は食堂。女主人が一人で切り盛りしているが、メニューは新鮮なだけがとりえの 魚料理が数点と、作り置きのきくシチューがある程度。セットメニューでも、いたってありきたりな、 海草の入ったサラダ、スープ、パン、煮魚といった感じ。
 リナに出会う前のガウリイと、 リナのとーちゃんが出会った村。
 魔族ルゾウルに脅され、村ぐるみで、宿泊する旅人を殺害していた。村人は誰も抵抗せず、あまつさえ 殺した旅人の金品を、自分たちで分けていたという。どこかの正義かぶれな王女様が聞いたら、血圧 上げて正義の口上を述べてくれそーな村。
 事件解決後、とーちゃんによって、悪事を他の町の役人に知られたのだろうが、しらばっくれたり 誤魔化したりしたら俺がこの村ぶっ潰す、と脅されていたので、どちらにしても明るい未来はなかった ものと思われる。